パンプスを脱いで、ビーサンを履いた

SNSをやめて、もうすぐ2年になる。

SNSをはじめたころは顔出しをせず、行った場所や趣味のグッズなどを投稿していたが、ある人をきっかけに顔出しをするようになった。

見られている意識が芽生えたからか、髪型やメイク、洋服などの外見を気にかけるようになり、周りから褒められる機会が増えた。

顔出しをしてからは、ハイヒールのパンプスを履いているような常に背伸びしている感覚だった。

自分磨きを楽しんでいたというより、「頑張っていた」という言葉がしっくりくる。

自分の好きなものについて発信してきたことで何度かテレビ出演のオファーがあった。

ただ、企画自体がなくなったり、他の人に決まったりして、連絡が来るたびに落ち込んだ。

連絡が来ず、予告で他の人に決まったことを知るなんてこともあった。

そんなある日、とあるテレビ番組からInstagramの写真を使いたいと連絡があった。

放送日になり、実際に写真が使われた。
スマホで録画しながら自分の写真が映っていることに喜びを感じたものの、

「これだけ活動を続けてきて、1秒もないのか」

『プラダを着た悪魔』という映画で主人公のアンディが上司のミランダからの着信を見て噴水に携帯を投げ捨てるシーンがある。

この瞬間、当時の私はまるでアンディのように、SNSを手放すことを決めた。

何の躊躇もなくというより、やり切ったという感覚のほうが近い。

誰かにとっての楽しいが、自分にとっての楽しいとは限らない。

顔を出してSNSをやったことで良かったこともたくさんあった。
けれど、私にとってそれは楽しいものとは言いきれなかった。

SNSをやめて2年が経ち、自分が映る写真はめっぽう減った。

以前に比べて知り合いや友人から連絡が来る頻度は少なくなり、

「SNSありきのつながりだったのかな」

そんな風に感じることもある。
けれど、それでも良いのかなと。

鎌倉で暮らしていることもあり、今はビーサンが私の相棒になっている。

パンプスではなく、ビーサンで過ごすほうが、今は心地が良い。

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